新元号・令和が幕を開け、物流業界にいよいよ新たな動きが見えてきた。
軽貨物ドライバーでYouTubeに動画を配信するふっきーさん。
女性ドライバーを数多く採用するといった独自の戦略で物流業界に一石を投じる、なでしこＴＯＫＹＯの宮内社長だ。

本号はふっきーさん、第２回と第３回ではなでしこＴＯＫＹＯの働き方改革事例を掲載する。
この２組の事例はジャイアント業界である物流産業ではまだミニマムスタートに過ぎないが、
勝ち組へのヒントが見えてこないだろうか。



◆YouTubeが新人ドライバーをリクルート
YouTubeで次々動画をアップする軽貨物ドライバー・ふっきーさんはフリーランスとして、
午前中は特定荷主のチャーター便、午後はハコベルなどの配送シェアリングサービスのスポット案件配送を受注。
ルーティンワークではないが、大手ＥＣ事業者の宅配ドライバーにも登録するほか、
手が空いた時には軽貨物版ＵｂｅｒＥａｔｓの配送をもこなす。

効率的な時間の使い方が功を奏して、１日２万円以上の粗利があるという。

しかし、ふっきーさんがドライバー職に従事するのは、月のうち15日のみだという。
理容師、ＩＴ企業、中国・海南省での日本語教師など就職活動は多岐にわたるが、
結婚を機に日本に戻り、法人向けの営業・コンサルティングの外交員を経験した。

ふっきーさんは物流と無縁だった。

営業先に向かう際、カーシェアの車を借りることも多くなったこと、
家族で出かける際にもカーシェアの車を使用することが多くなった。
そして赤ちゃんが誕生。
「車という移動手段がないと困る。仕事で使用でき、家族との外出でも使えるファミリーカーの所有もいいのではないかと考えた」
とふっきーさんは話す。
そこで、思いついたのが物流業への参入だった。



◆売り手市場「物流業」への参入で勝算
「物流業界はドライバー不足で騒がれていたし、就職も考えた時期もあった。
しかし、個人事業主として仕事をこなしてきた時期があり、自分に適正があるのではないか」

ふっきーさんは数年間の個人事業主の経験を有したことで、会社に属さない方向を見出した。
個人による軽貨物ドライバーとしての参入は勝算が見えた末の決断だった。
ドライバーが求められている時代だから、自分が求める収入を得ることはできると確信した。

現在は、朝７時から16時まではチャーター便、
それ以降は配送のシェアリングエコノミーで案件を探すサイクルで週３日、約14時間勤務する。
ドライバー業を休みとする時間には、
前職の営業、派遣理容、YouTubeにアップする動画編集やブログ記事などを執筆している。
会社という枠に縛られず、物流以外の職を淡々とこなしているように見える。



◆Amazonは甘い飴なのか
ふっきーさんは、Amazonの新宅配サービス「アマゾンフレックス」を
2018年暮れに契約を締結、案件受注を開始した。当初Amazonが提示した時給は税込みで約2200円。
Amazonは個立て計算ではなく、２時間コース、４時間コースの枠で金額が決まっている。
もちろん、その中にはガソリン代や駐車料金は入っていない。

しかし、それらは“お試し期間”のため、
実際運用時は若干金額が下がるというAmazonはドライバーに飴と鞭を使い分けているのだろうか。


「実は時間制での契約はすごく有難い仕事。
当日に現場まで行ってみないと何個配達があるのかわからない。
先日の４時間コースは15個で打ち止めだった」


社会問題化されている不在による再配達分は時間枠が終了すれば、
次のシフトにバトンタッチされるのもAmazonのやり方だ。

ふっきーさんによると、首都圏の平日不在率は１／４程度だという。
他の運送会社の再配達の荷物は、宅配のゴールデンタイムと呼ばれる20時～21時に走り回り、
さばく必要がある。それでも不在の荷物は翌日に持ち越しとなる。

しかし、Amazonは再配達もある意味クールに捉え、
リレー方式に考えているのだろう。Amazonが必要とするのは、
ラストマイルを担えるドライバーだ。多数のドライバーを傘下に入れるべく、
初回登録時にはさまざまなインセンティブを設けるなど、飴を配り続けている状況だろう。

Amazonのシステムはドライバーにとって、
願ってもないことだ。システマティックに運賃が入り、無駄な時間がかからない。
だから今、Amazonと契約するドライバーが増加しているという。


その一端を担うのがふっきーさんのYouTube動画だ。

イキイキ働くふっきーさんの姿を目にして業界入りするドライバーが
引きも切らない状態が続いているという。
その姿は、物流業への障壁を確実に低くしているのだ。


「僕がYouTubeで自分の働き方を紹介しているといろいろな反響があり。
賛同意見も多く、脱サラして軽貨物ドライバーを始めたいという人が多いことがわかった」

実際、ふっきーさんは毎月まとまった人数の新規ドライバーをAmazonに紹介している。
ふっきーさんのような自由なワーク、
そしてアマゾンフレックスを舞台とする働き方は輝いて見えるのかもしれない。

働き方改革を単独で実践し、物流業への見直しを図るふっきーさんの影響力は大きい。



▽YouTubeチャンネル　ふっきー【一生フリーランスします】
https://www.youtube.com/channel/UCcbA6FsSmKX2xVxcoDJpFdg
（登録数は５月７日現在で８３３０人）