物流マガジン

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2018/12/21
【連載:倉庫業界に地殻変動を起こした「物流不動産」第3回】大型物流施設開発ラッシュの波及効果

開発ラッシュが続く大型物流施設だが、リーマン・ショックの
1~2年以外は拡大を続け、EC市場拡大から再び建設ラッシュが
到来した。

2006年から2015年まで、延床面積1万坪以上の大型物流施設開発の年平均は約17万坪だったが、
2016年以降は急激に開発が進み、2017年から2020年までの4年間の年平均で、
約31万坪以上が新規供給されると見られる。

物流不動産バブルの到来だ。

環状16号線、圏央道など、首都圏の主要大型道路のみならず、
全国の物流適地に林立された大型物流施設は、
物流業界にどのような影響を与えたのだろうか。

■保管型倉庫との棲み分け
今回の連載では、大型物流施設を取り上げたが、倉庫が全て大型化されてきたわけではない。

建築や工事関係などの資材・道具、小売店の在庫、使用頻度が少ないイベント用品、
そして近年では手狭になった自宅の物置代わりにトランクボックスなどの
簡素化された倉庫に保管するニーズも顕在だ。

一方で大型施設を賃貸するテナントは、大手荷主企業、大手物流会社、
3PLを展開する企業、大手通販事業者などがメインユーザーとなる。

東日本大震災まで、複数拠点から1か所に集約する動きを示していた。

物流拠点の集約効果によるコスト面やリードタイム短縮など、
絶大の効果を持つからだ。

ところが、天災や火災など、何らかのトラブルが発生した場合、
出庫が滞ることで商品供給が止まってしまう。

特に、医薬品や食品は人名を脅かす事態となりかねないため、深刻だ。

そんな事態を憂慮して採られたのが、エリア単位のハブ拠点体制となる。

関東圏、東名阪、九州、東北など、
主要地域に拠点を構えることで、
万が一の事態に1か所の拠点が機能をストップした場合でも、
他の拠点で補完できる体制を敷き、
サプライチェーンを寸断させない戦略を採る企業が増加してきた。

大手企業による大型物流施設への動きが順調に推移した結果、
「玉突き現象」が発生するようになってきた。

高度な機能を備えた大型物流施設拠点へのニーズが伸びた結果、
都心部の中小規模の倉庫に空室が目立つようになってきたのである。

■倉庫リノベーション
特に都心では近年、テナント付けできない倉庫を、多用途に改修する動きが出てきた。

オフィス、店舗、スタジオなど、ニーズは多角化してくるようになってきた。

ユーザーが求めるのは、倉庫独特の雰囲気、立地や倉庫の持つポテンシャルだ。

豊洲市場で話題になった床荷重を例にとると、
一般的倉庫の場合はフォークリフト走行を想定して、
1m2あたりの床荷重は1.5トンに設定されることがデフォルト。

一般の建築物にはない大きなメリットとなる。

倉庫の持つ頑強な躯体があるからこそ、
ボーリング場へのリノベーションや、ダンススタジオが可能となる。

また、倉庫からコワーキングスペースへのリノベーションを行う物流会社は、
7m以上ある天井高を活かした空間を撮影用に時間貸しする計画。

室内でドローンを飛行できる――との謳い文句で、
映像制作会社への営業をかけている。

倉庫リノベーションの定番はオフィスへの転用だろう。

Google、Appleなどの巨大な成長企業のオフィスも、
もとはリノベーションした倉庫だった。

この動きは日本でも表れ、
複数階にまたがって構えていたオフィスから広々とした1フロアへと移転したことで、
部署間のコミュニケーションが取れる効果も大きい。

テナント側のもっとも大きなメリットは、オフィスと比べて賃料が安価なこと。
倉庫オーナー側は元の空間の魅力を活かし、

内装を作り込まずに、初期コストを抑えることができる。

今後は首都圏を中心に、旧型倉庫からのリノベーションはさらに続くだろう。

■倉庫の数だけチャンスが生まれる
不要になった倉庫にリノベーションを施し、リーシングするのは不動産事業。
「物流不動産」の一環だ。

そんな倉庫業者の発想をもとに新たなビジネスが日の目を見ようとしている。

倉庫を基軸に「物流不動産ビジネス」を展開するイーソーコだ。

同社は自社倉庫を中心とした倉庫営業スタイルから、
他社倉庫のマスターリース、サブリースなどのリーシングを行う営業スタイルを推進する。

倉庫業は従来、荷主からの荷物保管請負や、自社倉庫に入居するの客付けをするが
ビジネスの基本となるが、同社は全国に張り巡らせたネットワークを
活用、自社・他社倉庫に限定しない営業手法を採用した。

「倉庫の数だけチャンスが生まれる」を謳ったユニークなビジネスモデルは、
不動産、金融、IT、建築など異業種を横串で通した営業を展開、
大型物流施設の痕跡をうまくビジネスに取り込んだ。

                             *

本連載では、外資系ディベロッパーの国内参入に端を発し、業界の新たなルールを
変容されている姿をご紹介したが、今後の物流業界がどのような色に塗り替えられようと
しているのか、その姿の一端をご紹介できればと考える。

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